株作ろう
眠れなかったとしても、ふだん進まない読みものが進むのだから儲けものと考えればよい。
そして優先順位の最後に来るのが、のんべんだらりとテレビをみる時間、ごろごろしている時間、いわゆる無駄な時間である。
休息になっていないのなら、こういう時間だけは減らすように努めたい。
ただし、よほどせっぱつまった資格試験の受験勉強などを除いて、あまり息がつまるような勉強生活は、実際は勧めない。
大人の勉強の場合は、関心や興味をもちつづけられることが条件になるからだ。
そうでないと人力もうまくいかないし、長続きもしない。
自分のライフスタイルをまず優先して、私の時間作りのアイディアはヒント程度にとどめてもらえると幸いである。
単位時間の効率を上げるもう一つの時間作りのテクニックは、単位時間あたりの効率を上げることだ。
私か受験生に対して暗記数学を提唱したのも、単位時間あたりに入力できる問題の解法パターンが自力で解くよりはるかに多いためである。
単位時間あたりの勉強の効率を上げるテクニックは、前章の知識を増やすテクニックを参照してほしい。
そのポイントは、興味・関心をもつこと、わからないことはなるべく早めに解説書を読んだり、人に聞いたりして理解に努めること、適度に復習をして、これまでに勉強した時間を無駄にしないこと、(特に試験勉強の場合は過去問分析などを通じて)入力情報を絞り込んで必要なことのみを勉強することなどである。
時間の優先順位付けや無駄な時間を省くより、単位時間あたりの効率を上げることのほうが実質的にはずっと時間を作ることが可能である。
時間の使い方に触れたところで、スケジュール管理にも少し触れておきたい。
何かしらの勉強をしている際に、どんどん予定が遅れていって、途中で嫌になるということは往々にして経験することだろう。
受験日のはっきりしている資格試験に限らず、どんな勉強においても、ある程度は期限をきって、達成目標(たとえばいついつまでにレポートを一つ作る)を決めておかないと、勉強ははかどらず、身につかないことが多い。
私は、原則的に一週間程度の小目標を設定することを勧めている。
三ヵ月で、あるいは半年で論文をしあげるなどというロングスパンの計画は、目標が立てにくい上に、途中で予定が狂うことが多すぎるからだ。
一週間ということであれば、仕事をしている人間なら、大体のスケジュールが把握できるから、その中で、勉強に使える時間を割り出すことができる。
その上で、本を何ページ読むとか、この項目とこの項目については頭に叩き込む、あるいは資格試験の問題集をどのくらい進めるという具合に、このくらいはできそうだという目安を立てておく。
勉強からしばらく離れているために、その目安が立たないという場合には、まずは実際に試してみてペースをつかむとよい。
ここで大切なのは、土曜日、日曜日の扱いである。
勉強が趣味や娯楽になっている場合はよいが、そうでない時は、週に一回は休みをとりたい。
そこで私か勧めるのは、月曜日から金曜日までにできる勉強量を一週間の予定量としておいて、土曜日は借金返済と復習にあてるというものだ。
つまり予定通り勉強ができなかった分を土曜日に取戻すとともに、その一週間にした勉強は土曜日に復習して保持を確実なものにする。
これによって、計画は狂わないし、確実に勉強が身についてくるのだ。
もちろん、計画が予定通りにいっていれば、土曜日は復習だけでよくなるし、その週が忙しくて大幅に計画が遅れた場合は、土曜日にその借金を返済して、日曜日は遊ぶのを我慢して復習にあてることになる。
時々であれば休みがつぶれてもそう痛みやストレスは残らないだろう。
大人の勉強の場合、平日は忙しすぎて勉強ができないので、土日に勉強をしたいという場合もあるだろう。
資格試験の勉強の場合は、なるべくこの形は避けたい。
一週間のうちに忘れていることも多くなるし、土曜日の勉強のとっつきが悪くなるからだ。
やむをえずそうする場合は、毎日三十分でも十五分でもいいから、平日に土日の勉強のメンテナンスの時間をとるように心がけたい。
勉強を教養目的や趣味としてやる場合は、もちろん、土日集中のやり方でもよい。
しかし、この場合も勉強を不連続なものにしないで、記憶に残すために、先週の勉強の復習は忘れないようにしたい。
逆に専業主婦のように、時間にかなり余裕があったりすると、かえってスケジュールが立てにくいということもあるだろう。
宅建の試験のように短期集中型の勉強で取れる資格を除けば、一日の勉強は三時間程度までにとどめておくほうが賢明だ。
そして、一コマ九十分と決めておくとよい。
大学の講義やスタンダードの映画の上映時間や試験時間が九十分であることでもわかるように、このあたりが人間の集中の限界の目安だからだ。
その場合は、午前中にIコマ、午後にIコマと割り振って余裕をもって勉強を進めるとよい。
ただし、土日の使い方は前述と同様に土曜日を借金返済と復習にあてることを勧めたい。
土曜日に勉強をしていると夫がうるさいというケースでは、金曜日を借金返済日にあてるという変法も可能だろう。
ついでにいうと、勉強に限らず、賢いスケジュール管理の秘訣は、時間の優先順位付けにある。
勤務時間の中でも重要な時間と、やりすごせる時間のメリハリをつけられれば、職場でのストレスや疲れは大幅に軽減するはずだし、仕事自体の能率も上がることだろう。
日本の場合、住宅事情の悪さも手伝って、情報の整理に頭を悩ませている人も少なくないだろう。
もちろん、パソコンの出現は情報整理を大幅に容易なものにした。
新聞の切り抜きはインターネットの使用によって事実上不用になったし、週刊誌などの短い記事の切り抜きは項目別にフォルダを作って、スキャナーで取り込めばよくなった。
ただし、ざっと目を通すには、旧来のスクラップブックのほうが、はるかにやりやすいという人も少なくないだろうから、これは個人の好みに合わせたほうがよいだろう。
また、今でもスキャナーの情報取り込み時間はけっして早くないので、スクラップブックのほうが時間の節約になる場合もある。
私の個人的経験からいうと、情報整理の中でもっとも時間の無駄を生むのは、どこにその情報をしまい込んだかを忘れたり、その情報をなくしてしまったりする(往々にして後から出てくるのだが)場合である。
偉そうにいう私も、論文や著書の執筆中に時々このような失態をやらかして、莫大な時間を無駄にする。
そのために思考がとぎれてしまうことも考えると、そのロスはきわめて大きい。
だから、そのたびに反省して、原則的に心がけている整理法に戻ることにしている。
そして一冊の本を書き終えたら、その整理法にもとづいて部屋の整理と掃除をするのに、一日かけるのである。
私の整理法は、情報をカテゴリーごとに大型の紙袋か段ボール箱に入れていくというものである。
それと家の外で読む資料は書籍に限って、原則的にそれ以外の資料は部屋の外に持ち出さないということだ。
この段ボールを探せば大丈夫という安心感は、仕事に大きな余裕を与える。
外からみると見栄えが悪いが、仕事の上の便利さには替えられない。
別に各々の箱や袋にタイトルはつけていないが、その中の資料を一つ取り出せば、何の資料かがわかるので、これも不自由がない。
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